だいすきなんです。


だいすきなんです。



私の名前はサクラ
いつも私は街全体が見渡すことが出来る丘にいます
ここは私の大好きな場所で、春の時期だともっと好き
だって、街全体が見えて清々しいんですもの
そんな場所で私は運命の人と出会いました
初めて会った彼は泣いていて、その姿を見た私は・・・彼を慰めてあげたいと思った
初めて会ったその日を境に彼は毎日この丘に来て、ずっと私と喋っているの
何の話かって?他愛もない話よ。今日何があったとか、先生に怒られたとか
話しながら見せる彼の笑顔・・・とても輝いてるの。太陽の様にキラキラって
その笑顔が見れるだけで私は幸せなんです
名前?・・・彼の名前なんて知らない
彼がこの丘に来てくれて・・・喋って・・・あの太陽の笑顔を見せてくれるだけで十分なの
名前を知るなんて贅沢だわ(笑)
毎日彼とすごす日々があれば十分だった。この日々がいつまでも続けばいいのにといつも願ってる
けど、時間は許してくれないの。刻々と別れの時間は迫ってる
自分でもわかるの・・・風がそう教えてくれているから
知らぬが仏ってよくいう見たいだけど、確かにそうね。知らなければ良かったわ
彼に会えないと知らされているんだもの、悲しいはずがないじゃない
ほら・・・こんなことを考えていたら彼が来たわ





「よっ、また来たよ。」

こんにちは♪

「今日は学校のテストでもうしんどかったよ・・・つかれたぁ〜」

大変そうね・・・そんなに疲れた顔して・・・でも頑張らないと!

「明日もあるんだよなぁ〜・・・めんどくせぇ〜」

そんなこと言っちゃダメだよぉ〜

「まぁ・・・頑張るけどよ・・・」

そうそう♪

「・・・・・・もうすぐ・・・・・・だな・・・」

・・・・・・そんな話しなくても・・・

「最近ずっと雨ばっかだったもんなぁ〜・・・」

うん・・・寒かったよ・・・

「でも、お前が消えるわけじゃないもんな!それだけでいいよ俺は。」

・・・・・・。

「またお前が綺麗なときに来るから!って、いつも綺麗か(笑)」

・・・わかったるじゃない、ふふ

「じゃぁ、また来るからな!」





あっ・・・行っちゃった
いつもいつもほんの少しだけ・・・でも幸せ
彼も「また来るな」って言葉が本当に嬉しいの
でもごめんなさい・・・私・・・ここからもういなくなるみたい
風がそう言ってたもの。ほら・・・お迎えが来た
ごめんね・・・あなたに何も伝えてない・・・伝えれない・・・
さよならは言わないわ
でも・・・私の気持ちを言います・・・
だいすき・・・あなたがだいすきです・・・












俺の名前はダイキ
ある日を境にいつも街全体が見渡すことが出来るこの丘がお気に入りの場所になった
なんでお気に入りになったかって?
恥ずかしい話・・・俺失恋してさぁ〜・・・泣きながら無我夢中で走ってたんだよ
そしたら気が付いたらこの場所に来ててさ、ずっと泣いてたんだ
んで、そん時に俺を慰めてくれた人がこの丘に居たんだ
・・・人って言ったら変かな?まぁ〜・・・あれは俺にとっては女性(笑)
心の恋人みたいなね
彼女が作り出す独特の世界に俺は救われたんだよ
その世界を求めて毎日その丘に行ってるんだ
今日も行くところ。学校のテストが終わったことを報告しにね


「今日はどんな様子かなぁ〜・・・・・・えっ・・・ない・・・」


そこに彼女はなかった・・・
いつもいるその場所にあったのは切り株・・・


「ない・・・桜の木・・・ない・・・」


悲しみに包まれていた彼女は俺を桜吹雪で包んでくれた
その世界に俺は救われたんだ
その世界が好きで・・・毎日行って・・・今日何があったとか、先生に怒られたとか
そんな他愛もない話をして楽しかったんだ


「・・・なんで・・・なんで!!!」






私の名前はサクラ
人々は私を『桜の木』と呼んでいる
昨日、その人々が私を切りに来ました
何のためかな?彼のためなることだったらいいけど
私は切り株になっちゃった・・・・彼が着てるのがわかる
・・・あれ?・・・泣いてくれてるの?
悲しまないで・・・お願い・・・悲しまないで・・・・
すきよ・・・だいすき・・・だから・・・笑顔を見せて?






「・・・・・・桜の花・・・?」


空から・・・桜の花びらが降ってきた
あの日みたいな桜吹雪・・・


「・・・悲しむなって?・・・最後の最後まで・・・ありがとう・・・」






私は桜の木
春の季節にしか輝けない
私は今も丘の上で桜の花びらを街に降らせている
人々の笑顔を見るために・・・
大好きな・・・彼の笑顔を見るために──・・・





end



◎あとがき◎
本当は月初めのupで更新したかった小説です。
桜の木を見て思いついたやつなんです。
あまずっぱい恋愛・・・かな?
そんな感じです(笑)